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将来に離婚することを約束しておく意味
今すぐには離婚しないけれども、将来に離婚することを夫婦で決めておき、その離婚に備えて先に離婚協議書を作成しておきたいという方があります。
しかし、離婚の条件は離婚するときに決めるものであり、仮に事前に定めたとしても、将来になって離婚することの合意が崩れたり、離婚条件を定めた前提が変わることも起こります。
そのため、今は離婚しないにもかかわらず、将来に離婚することを約束して先に離婚協議書を作成しておくことは、法律上では意味を持ちません。
夫婦の間で離婚する方向で合意ができても、子どもへ影響が及ぶことを避けたいなどの理由から、直ぐには離婚できない夫婦もあります。
こうしたとき、将来に離婚することを夫婦で約束し、離婚の条件を先に離婚協議書に作成しておきたいと考える方もあります。
将来に離婚することに合意できたので、相手の気持ちが変わらないうちに離婚する時期、離婚の条件などを離婚協議書にして固めておきたいということが主な理由として聞かれます。
しかし、協議離婚する手続では、離婚の届出時に夫婦の双方に離婚する意思のあることが必要になります。
離婚の合意をしても、離婚の届出前であれば、離婚する同意を撤回することもできます。
このような協議離婚の仕組みから、将来に離婚することを予約する夫婦間の契約は、法律上では意味を持たないことになります。
離婚に向けて作成する離婚協議書も、その後に離婚に関する合意が崩れてしまうと原則として意味を持たないものになります。
将来に離婚することを夫婦の間で約束し、その約束を履行できれば、何も問題が起きません。
しかし、夫婦間で合意をした後に、どちらか一方の気持ちが変わってしまったときは、再度の話し合いが必要になります。
こうしたことから、かなり先の時期に予定する離婚を前提とした離婚契約の公正証書を作成することは、公証役場で認められません。
離婚することを夫婦で合意すると、その後に離婚条件の話し合いを始めます。
離婚条件を最終的に離婚協議書に作成しておきたいときは、離婚の届出を予定している時期を見ながら、離婚協議書の準備も進めていきます。
ただし、相手から離婚に同意を得ていない段階から準備を始めることには注意を要します。
何となく夫婦で話している離婚する場合の条件を整理していきますが、最終の離婚条件が確定するときには、話し合いを始めたときからは大きく条件が変わっていることもあります。
それは、離婚手続を進めることに消極的な側は、良い条件を提示したり、不利な条件を受け容れる必要もなく、一方の離婚することを急ぐ側は条件の譲歩を求められるためです。
離婚することを急がない側は、相手から良い条件の提示をされることを待っています。
離婚するタイミングが熟していないときには、離婚協議書の作成を急いでも良い結果にならないこともあります。
離婚することを約束した証として、その時点で離婚届を記入しておく夫婦もあります。
準備さえ出来ていれば、離婚を約束した時期に離婚の届出をすることができるためです。
ただし、協議離婚は、届出が受理されることで成立します。離婚届の用紙への記入を完了しただけでは離婚は成立せず、離婚の届出までは離婚の撤回も可能になります。
また、無断での離婚の届出を防止するために役所に離婚届不受理申出をしておくこともでき、そうした申出があると、離婚の届出は受理されません。
こうしたことから、離婚届の用紙を早く準備していても、役に立たないこともあります。
そして、離婚届の記入後になって夫婦間の離婚合意が崩れたときは、記載済みの離婚届の用紙が残ることで問題が起きることもあります。
記載済の離婚届を預かっている側がその離婚届を役所に出してしまうと、それの受理によって形式上で協議離婚は成立します。
離婚の届出時には離婚の合意がありませんので、そうした離婚は取り消すことができます。
ただし、離婚の取消しには家庭裁判所での手続が必要になり、夫婦間でトラブルとなります。
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