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毎月の養育費以外の費用負担
養育費の用途は、子どもにかかる日常的な生活費、教育費、医療費が中心となります。
そのほか、子どもを監護養育していくなかでは、毎月の生活費などのほか、子どもが大学、専門学校などへ進学したときの学費等も必要になってきます。
こうした進学に関する費用が必要になることが予想される場合、離婚時における話し合いで、あらかじめ負担の額、割合などを離婚協議書に決めておくこともできます。
養育費は、子どもが経済的に自立して生活できるまでの、子どもの衣食住等の生活費、教育費、医療費などについての父母間で定めた分担金になります。
子どもが経済的に自立できない未成熟子であるうちは父母に子どもの扶養義務があることから、別居親も養育費を負担して監護親へ支払うことになります。
基本的な考え方として、子どもが経済的に自立できないうちは扶養義務があり、子どもが経済的に自立できると養育費の支払い義務はなくなると考えられます。
ところが、近年の高学歴化が進んだことによって、高校進学率が90%を大きく超え、大学への進学率も50%を超える状況になっています。
そのため、働くことはできるけれども進学を選択することが現実に多く起きてくることになり、養育費の支払いを終える時期をいつと定めるかが問題になります。
あらかじめ父母が子どもの大学進学を合意しているときは、支払い終期の問題はなくなりますので、養育費の月額、進学時や在学中の費用負担を決めるておきます。
しかし、子どもが大学へ進学することに夫婦の間で意見一致ができていないときには、いつまで養育費を支払えばよいか、養育費の取り決め時に夫婦の間で問題になります。
家庭裁判所では原則として20歳までを養育費の支払い義務期間としています。高校を卒業しても十分な収入が得られずに自立できないことがあることを考慮しています。
ただ、家庭裁判所でも大学卒業までを認めることもあります。それは、夫婦ごとの事情(学歴、収入、育成環境など)に応じて判断されることになります。
協議離婚では、夫婦間での話し合いがつかない場合は一応20歳までと定めておいて、子どもが高校生となった段階で大学進学について考えることもあります。
しかし、子どもを監護養育する母親の側としては、将来に話し合うことを約束するだけでは何の担保もないことを心配します。
実際にも、父母では解決のつかないとき、家庭裁判所が大学進学までの養育費支払いを認めるかは分かりません。
子どもの幸せを考える
子どもからの扶養料請求
離婚協議において養育費の取り決めをしたとしても、離婚後にそれぞれで生活していく中で状況が変わってくることが起こります。
たとえば、子どもの進学です。離婚した時は高校卒業までと考えていたのが、子どもの希望によって大学へ進学することになったりします。
また、養育費を負担する者が子が公立学校へ進学することを希望していても、結果的に私立学校へ進学することも起こります。
このようなとき、養育費の父母間の負担はどうなるのでしょうか?
このような問題を考えるうえで参考になる審判例があります。
ひとつは、子どもが薬科大学に進学したときの養育費負担に関しての審判です。親が、医師、薬剤師であるという経済的な状況、家庭の教育水準などを考慮して、子どもの大学卒業までの養育費負担を認めています。
もうひとつは、養育費を負担する親は、子どもを公立高校へ進学させることを希望していたものが、養育費負担者への相談なく私立高校へ進学したときの入学費用に関しての審判です。養育費を負担する親が公立高校へ進学することを認めていた事情を考慮し、公立高校への進学を基準として負担額を定めています。
これらの審判から、教育に関する養育費負担については、各家庭の経済状況、教育水準などを個別にとらえて判断されることが伺えます。
最近は大学全入時代となり、進学率も50%を超えていますので、子どもが大学への進学を希望すれば、大学進学の可否は学費調達の問題だけとなります。
進学率が半数という点が、誰にでも認められる権利とまでは言えないところですが、一方で認められる範囲内にあるケースも考えられるます。
できれば、父母間の協議によって、子どもの希望を実現させてあげたいものです。
離婚協議のときに、父母間で、子の大学進学について一致していることも少なくありません。
そのようなときには、毎月の養育費のほかに、大学の受験、入学、在学に係る特別費用の負担についても具体的に定めている夫婦があります。
そのときになって決めるということで、「将来に協議する」という文言が公正証書に記載されることが多くありますが、果たして離婚した後に父母間で子どもの大学費用の負担に関して円満に話し合えるものか分かりません。
離婚して何年も経過してからの話し合いで、面会交流も実施されていない状況であると、学費の負担について期待を持てるものか疑問もあります。
できるだけ離婚の後に課題を先送りしないで、あらかじめ決められる範囲内でも一定の確認をしておくことも大切になると考えます。
養育費は、毎月の定期支払いが基本的な形になりす。一般にも「養育費」というと、この月額だけにスポットがあてられがちになります。
離婚契約を結ぶことは考えていても、大学等に進学した場合の費用までを考慮して定めているケースは少ないように見られます。
しかし、近年の高学歴化に伴い、高校卒業後の大学等への進学費用を父母でどのように分担するかということは、子どもの進学時に問題となります。
このときの父母の協議がスムーズにいかないとのご相談を受けることも珍しくありません。
なにしろ大学への進学費用は、私立大学では総額で500万円を超えるものになります。
この費用が短期間に必要となるため、父母の双方ともに進学資金の準備ができていなければ、話し合いにもならないことが想定されます。
かなり将来のことであれば離婚時に協議できないことも仕方ありませんが、数年先に控えている進学について具体の協議ができなければ、心配を残すことになるかと思います。
すべての負担について具体的に定めることが難しいときは、大まかな方針でも定めていくと、少しは安心できるかもしれません。
大学等の学費
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