熟年離婚になるときの注意は？｜離婚相談21

熟年離婚が増えたと言われています。確かに夫婦の価値観が、時代によって変わってきているという感じはします。弊所への離婚にかかるご相談にも、熟年離婚のご相談があります。

熟年離婚での課題は、大きく２つあると考えます。

一つ目は、経済的な自立です。離婚してからは一人で生活していくことになります。年齢的に高い収入を得ることは難しいため、財産分与と年金分割が重要になります。

夫婦の婚姻期間が長いからと言って財産が多くあるとは限りません。子供の教育や住宅に資金を使ってしまうことも多くあります。現預金が十分にないときには、財産分与の中心が住宅となってしまいます。でも、住宅は売却しないことには分割ができません。また、住宅ローンの返済確認（見込み）も重要です。

夫婦が離婚後の住居をどのように考えるのか、ということがポイントになります。現在の住居にこだわらなければ、売却して賃貸住宅に入ることが効率的かもしれません。しかし、住宅の評価が高くなければ、かえって住居費がかさむこともあります。

住宅について、ご夫婦で良く話し合うことが大切です。

また、年金が将来的な収入源となりますので、年金分割ができるのか、できる場合には受給額がどうなるのかを確認します。ただ、年金分割は、当然ながら配偶者の支給額を落とすことになりますので、離婚と合わせて合意が得られるかがポイントになります。

２つ目は、離婚の合意を得ることです。

高齢化によって、健康ではなくなった状態になってから生きていかねばならない期間があります。その期間を、どのようにしてカバーするのかという心配を誰でもが持っています。

子供がいても頼れるものではありません。このようなとき、離婚後の単身者は、不安が大きいものと想像されます。

したがいまして、離婚することによる高齢時代におけるリスクをどう考えるのかということが問題になります。一般に、夫は生活面ですべて妻に頼ってきている部分が大きくあります。そのため、離婚することに対しての不安が強いと、容易には離婚に合意しないことも考えられます。

裁判になると、長期の別居などにより婚姻関係が破たんしていると認められないと、相手に離婚原因のあることが必要になります。

夫婦間における単なる性格の不一致だけでは、裁判で離婚することが認められるか分かりません。

以上のとおり、離婚後の経済面の問題を解消できて、さらにお互いが離婚後を一人でもやっていけるという決意のあることが、熟年離婚の必要な条件になると考えています。何とかなる、という気持ちも大事かもしれませんが、熟年離婚では、現実的な対策が前提として必要になります。